デートの朝




綺麗でいたいの

貴方の前では一番綺麗な私でいたいの






今日は日曜日。仕事もないのに目覚ましが鳴る。
・・・・そう今日は貴方と会う日。

久々のデートだからって少し張り切りすぎかな?と思いながら8:00に起床。
待ち合わせの時間は10:00。
家から待ち合わせの場所までの移動時間、およそ30分・・・・
でも、今日は遅刻するわけにはいかない。
だって1ヶ月ぶりのデートだから。

眠い目をこすり、ベットから這い出た私は洗面所へ。
鏡に写る顔にはうっすらクマのあとが。


「やっぱり・・・」


昨日はなかなか寝付けなかった。
遠足の前の日小学生が眠れない、それと同じ感じ。


「これは化粧でなんとかしよう。」


一人つぶやき、顔を洗い、歯を磨く。
洗面所での用事を一通りすませ、手早く洗濯機の中に洗濯物を放り込みスイッチを押す。
それから、キッチンで朝ご飯の準備に取り掛かる。
とはいっても一人暮らしの冷蔵庫にはたいしたものは入っていないので、冷凍しておいたパン、レタスとたまごを取り出す。
パンはレンジへ、レタスは適量ちぎってざるへ、卵はフライパンの上へそれぞれ投入する。
そして簡単な朝食を取った後、いよいよ準備に取り掛かる。

まずはメイク。


「とりあえずクマをなんとかしよう。」


また一人つぶやき、化粧をはじめる。
ファンデーションはしっかりめに、クマはコーンシーラーで隠す。
マスカラはいつもより丁寧に、少しでも目が大きく見えるようにアイラインもしっかりと。
口紅は最近買ったお気に入りを。
いつもより長い時間をかけてばっちりメイクの出来上がり。
まぁ、貴方のことだから化粧なんてどうでもいいとかいいそうだけど・・


「次は・・・服か。」


またまた一人つぶやく。
一人暮らしは独り言が増える。
一人暮らしの人にアンケートをとると10人中9人はそう答えるとか答えないとか。


「今日はやっぱスカートか?」
「いや・・あんまりはりきってると思われるのもどうかな・・」
「ジーパンは気抜いてるように見える??」


あれでもない、これでもないと鏡の前でファッションショー。


「スカートの方が好きだっていうけど、今日はボーリングとか行きたいっていってたしな・・・」


ベットの上に服が積みあがっていく。
そうこうしている間に、時計の針は9時をまわっていた。


「わぉ・・もうぎりぎりだよ。」


結局ジーパンをを服の山から探し出し身につける。
上はお気に入りのTシャツ。
お気に入りのネックレスをつけ。これで服は完了。
洗面所で手早く髪を整え、洗濯機から洗濯物を取り出す。


「早く干さないと・・・」


洗濯物を抱えベランダへ走る。ちょっと干し方が雑だけど目をつぶろう。
干し終わり時計をみると、9時20分。


「もう出なくっちゃ・・・」


急いでかばんを握り玄関へと走る。


「靴は・・・・黄色!」


またまた独り言をつぶやきながら靴を選ぶ。


「これで完璧!」

もう一度玄関にある鏡に自分を映し最終チェック。
最後に貴方とおそろいの指輪を左手の薬指にはめて玄関のドアを閉める。

そして、貴方に会うために真夏の暑い空の下へ私は吸い込まれていく。





綺麗でいたいの

貴方には一番綺麗な私を見て欲しいの





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2005/09/15




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