関係




ふと、思い出すことがある






あなたとこういう関係になってからしばらくして、ことが終わって疲れて眠ってしまった夜中。
ふと暑くて目が覚めたとき、私はあなたの手をにぎりしめて寝てしまっていたらしく手はしっとりと汗ばんていた。
私はするりとあなたの手から手を抜いた。
すると手を解いた瞬間、あなたは手をさすりながら少し痛そうにして自分の方へ引き寄せた。
普段暑がりのあの人のことだから、私よりずっと前から暑かっただろうに。
だからなのか、目が覚めたときあの人の体が私から離れていたのが少し寂しかったのに。
暑くて、できるだけベッドの端に向かう体で、無理な体勢になろうと離さずいてくれた手がとてもうれしかったことを。
手だけは離さず、ずっと私が寝てからも繋いでくれていたあの人の優しさを。

疲れて眠る前、肩を少し強引に抱き寄せてくれること。

抱き寄せる腕が、少し強引で苦しいこと。

ことが始まる前、必ずキスをしてくれること。

帰り道、私が手を繋ぐことが好きなの知っててちゃんと手を繋いでくれること。


あなたの気持ちなんて全然わからないけど。
私とあなたとのこと関係がなんていうのか、私にはわからないけど。

でも、私の中ではその優しさが全部だと思った。






ふと思い出すのはいつも決まって
少し不器用なあなたの優しさ







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2013/02/05


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