モーニング・コール


半分夢の中で聞いた貴方の声
やっぱり優しくて
このまま夢の中に戻ったら、貴方に会えそうだ
そう思ったの






枕もとでなる、携帯電話。
貴方専用に設定した着信音が、鳴り続ける・・・・
私は夢に片足突っ込んだまま、手だけ布団から出して携帯を探し通話ボタンを押した。


「おはよう」

「おはよぅ・・・」

「おい、起きろよ」

「起きてるぅ・・うん・・」

「いやいや、寝てるやん」

「うん、寝てる・・・」

「こらこら、早起きしてドライブいくんやろ?」

「うん、行く・・」

「なら、起きろ」

「うん、起きるぅ」


まだ夢の中にいるみたい、ふわふわする・・・
そんな中で聞こえる貴方の声、なんだか安心する。


「なんか、このまま寝たら・・・夢で貴方に逢えそうな気ぃする・・・」


気が付いたらそんなこと口走っていた。
いつもならこんな甘いセリフ、恥ずかしくていえやしないけど。
今は夢の中、何だっていえそうな気がする。そういつもは照れくさくて言えないあのセリフだって・・・
そんなことをぼんやり思っていたら


「そんなん、お前だけずるい。迎えにいったるからちゃんとほんものに逢えや・・・」


そんなセリフが聞こえた・・・
一瞬耳を疑った。貴方だってそんなこというキャラじゃないでしょ?
どうしちゃったの??
びっくりして眼が冷めた・・


「わかったか?30分で行くからちゃんと用意しとけよ」

「30分で早ない?」

「うるさい、そんならさっさ起きて準備せんかい」


照れ隠しのようにまくしたてる貴方、ちょっと可愛いかも・・・


「なんや?照れてんのん?」

「うっさい!はよ用意せい!ほな切んぞ?」


ほら、怒ってるのふりしてるくせに一方的には切らない。そんなとこが好き。
ちょっと調子にのった私はいつもは言わないとっておきの愛の言葉を受話器越しにささやいた。


「・・愛してるで♪」

「わかってるわ!!」


裏返った声、結構きいたもよう・・
貴方の沈黙に言った私の方がなんか恥ずかしくなってきて、急いで準備するからと告げ電話を切った。





貴方からのはじめてのモーニング・コール
たまにはこんな甘い朝もいいかもね




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2005/07/07



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